歯周病で死に至る?Floss or Die (フロスか死か)の真偽とは

こんにちは。
日本歯周病学会 歯周病専門医 玉澤賢です。

「Floss or Die(フロスか死か?)」

これは90年代の末、アメリカの歯科医師会が歯周病予防のキャンペーンポスターに掲げたキャッチコピーです。

「デンタルフロスを使うか?それとも死を選ぶか?」という衝撃的なメッセージは、強烈なインパクトとともに歯周病が全身疾患と深い関わりがあるという事実を効果的に周知させました。

歯周病が悪化すると命をキケンに晒す?

デンタルフロスは、歯と歯のすき間にたまった歯垢という、いわば細菌の塊を効果的に除去できる優れたケアアイテムです。

しかしながら、この時代のアメリカでは、毎日デンタルフロスを使っていない人が過半数でした。

そのため、糖尿病を患っている人の95%が歯周病患者でもあり、その3分の1の人が、歯が抜けてしまうほど重症化していました。

そこで、デンタルフロスを歯磨きに採り入れさせるために、こうした衝撃的な歯周病予防キャンペーンが展開されたというわけです。

歯周病菌がお年寄りの肺に入ったら…

歯周病が悪化すると、歯茎が腫れて出血し、簡単に血管に歯周病菌が入り込みます。やがて血流に乗った細菌が全身を巡り、臓器や脳、子宮などにさまざまな悪影響を及ぼします。

もし、歯周病菌が免疫力が落ちているお年寄りの肺に入ったら…。「誤嚥(ごえん)性肺炎」発症の引き金になります。

「誤嚥性肺炎」は、飲み込む機能が衰えていると、食べ物や唾液といっしょに歯周病菌が誤って気管へ入り込んでしまうことから起こる病気です。高齢者や、脳疾患がある人の発症リスクが高い病気です。

そして、毎年、高齢者の死因の上位に入っていることが報告されています。

歯周病菌が妊婦さんの血中に入ったら…

妊娠して急に歯が悪くなった、というお悩みをよくうかがいます。

実際に、妊婦さんは歯肉炎や歯周病を発症しやすい傾向があります。その理由は、女性ホルモンが特定の歯周病菌の増殖を促進させるからです。

女性ホルモンは月経時にも分泌量が増えますが、妊娠中~後期には、さらにその30倍ほどまで増えます。

そのため、妊婦さんのお口の環境は、非常に歯周病を悪化させやすいといえるのです。

妊婦さんが歯周病を悪化させると、低体重児や早産のリスクが7倍にも跳ね上がるといわれています。

妊娠期は体調の関係で歯磨きやオーラルケアが難しくなりますが、生まれてくる赤ちゃんのためにもしっかりとケアしておくことが大切です。

歯周病と関係が深い全身疾患とは?

誤嚥性肺炎、早産、低体重児出産のほかにも、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病など、歯周病菌が全身を巡ることで引き起こされるリスクが高い重篤な病気はたくさんあります。

このようなリスクを回避するためにも、毎日の歯磨きにデンタルフロスをプラスしましょう。

その上で歯科での定期検診とクリーニングを利用していただければ、徹底的な歯周病予防を図れます。


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